近年、相続により農地を引き継ぐケースが増加しています。しかしながら、後継者不在などから耕作が放棄されるケースも多く見られます。このような状況下、平成29年の制度改正により、耕作放棄地に対する固定資産税が大幅に引き上げられました。放棄農地を所有し続けた場合、固定資産税の大幅な増加に加え、様々なデメリットが生じるおそれがあります。
こちらでは、耕作放棄地を引き継いだ場合の「固定資産税の増加リスク」「相続放棄・売却時の注意点」などについて解説します。
農地相続と耕作放棄地問題
◇相続で農地を受け継ぐケースの増加
近年、高齢化が進む中で相続件数も増加傾向にあります。その中には、農地を含む不動産を相続するケースも少なくありません。しかしながら、相続した農地を適切に管理できずに放棄してしまうケースも後を絶ちません。
農地の放棄は、以下のような問題を引き起こします。
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不作付地と同様の固定資産税評価が適用され、税負担が大幅に増加する
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周辺農地への雑草の繁殖や、防犯上の問題が生じる
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農地転用の際の造成費用が嵩む
このように、農地の放棄は個人の経済的損失のみならず、地域社会にも影響を及ぼします。相続した農地をどのように有効活用するかは、慎重に検討する必要があります。

◇耕作放棄地とは?
耕作放棄地とは、本来は農業生産が可能な農地が長年にわたり耕作されずに放置された状態のことを指します。近年、農業従事者の高齢化や後継者不足、産業構造の変化などから、こうした耕作放棄地が全国的に増加しているのが現状です。
主な原因としては、以下の状況が挙げられます。
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農業従事者の高齢化と後継者不足
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狭小で使いにくい農地が点在
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農地へのアクセスが悪い
放置されると、雑草の繁茂や病害虫の発生、土壌流出など周辺農地へも悪影響が出るため、農地の有効活用が求められています。国や自治体は農地の集約化や農村環境保全など、様々な対策を講じています。
大幅増加のリスク!耕作放棄地の固定資産税について
平成28年の税制改正により、耕作放棄地(遊休農地)の固定資産税が通常の農地に比べて大幅に増額されることになりました。従来、農地の固定資産税は「正常売買価格×限界収益修正率0.55」を基礎として算出されていましたが、改正後は「限界収益修正率0.55」を乗じない計算方式に変更されました。その結果、耕作放棄地の固定資産税負担は通常農地の約1.8倍(1÷0.55=1.8181)に跳ね上がることになりました。

この増税の対象となるのは、農業振興地域の中で農業委員会と農地中間管理機構が協議を経て、遊休農地として指定した耕作放棄地です。例えば、市区町村で農地課税されている土地を実際には空き地や資材置場など農地以外の用途に使用している場合、所有者はこの指定を受ける可能性があります。耕作放棄地を所持している方は、固定資産税の大幅な負担増を考慮し、対策を検討する必要があるでしょう。
農地の相続放棄の手順と注意点
◇財産全体の相続放棄が原則
相続放棄は、財産全体に対して行う必要があります。単独で農地だけを相続放棄することはできません。つまり、相続財産全体について相続放棄の申述を行うことが原則となっています。
◆相続放棄の手続きの流れ
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1.亡くなった方の財産の有無を確認
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2.相続放棄の申述書を作成
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3.最寄りの家庭裁判所に申述書を提出
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4.相続放棄に関する審判が確定したら手続き完了
◇相続放棄後も管理責任は残る
相続放棄をすれば、遺産との関わり合いは一切なくなると思われがちです。しかし、実際には相続放棄した土地にも管理義務が残る場合があります。
例えば、借金や不動産の相続で、法定相続人全員が相続を放棄する場合があります。このとき、承継者のいない土地は最終的に国庫に帰属します。しかし、国庫に帰属するまでの間は、相続放棄した人に対して土地の管理義務があります。
管理を怠ったには土地には「近隣住民や自然環境への被害発生」「ゴミの不法投棄や犯罪組織の利用で景観を損なう」「放火や建物への不審者の侵入など、事故の危険性」といったリスクがあるためです。つまり、遠方に住む相続人であっても、相続放棄した土地の管理は必須となります。
◇令和6年から一部相続放棄が可能に
相続放棄は、これまで被相続人の全ての権利義務を放棄するかどうかの二者択一でした。しかし令和6年4月1日から、不動産などの一部の財産のみを放棄できる「一部の財産についての相続放棄」が可能になります。
これにより、例えば遠方に位置する農地を相続した場合でも、その農地のみを放棄することが可能となります。預金などの有用な財産は相続しつつ、管理が困難な農地のみを放棄できるようになるのです。不要な農地の管理コストを避けられるメリットがあり、また相続放棄手続きの負担も軽減されると期待されています。
農地の処分(売却)を検討する際の留意点
◇農業委員会の許可が必要
農地の売買には農業委員会の許可が必要です。相続した農地を売却する際は、事前に農業委員会へ申請し許可を得る必要があります。許可申請の際は以下の書類が求められます。
・農業委員会へ提出する書類の例
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農地の権利移転申請書
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登記事項証明書
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農地の位置図
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代金の支払証明書(領収書など)
・審査の観点
農業委員会は以下の観点から審査を行います。許可申請から許可までには1~2ヶ月程度を要することが多く、許可がおりない限り農地の売買は有効となりません。
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農地の権利取得者が農業経営を適切に行えるか
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農地の権利移転が周辺農地の権利移転に悪影響を及ぼさないか
◇買い手が限られる
農地は「農地法」の規制があり、買い手が一般の方に限られるため、なかなか売れません。具体的には、以下のような方々に買い手が限定されています。
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農業者
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農業生産法人
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地方自治体
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農地所有適格法人
また、農地の買い手を探す際には、農業委員会の許可が必要になります。一般の不動産会社に任せても売却は難しく、専門の仲介業者に依頼する必要があります。このように、農地は商業地や宅地と比べて、非常に売れ行きが悪いのが実情です。
◇造成費用の発生リスク
農地を売却して宅地に転用する場合、宅地化するための造成費用が発生するリスクがあります。造成費用には以下のような項目が含まれ、金額も高額になる可能性があります。
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整地費(地面を平らにする費用)
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伐採・伐根費(木や根を取り除く費用)
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地盤改良費(地盤の強化費用)
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土盛費(土を盛る費用)
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土留費(土留め工事費用)
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傾斜度に係る造成費用など
造成費用は1平方メートル当たりの単価で見積もられますが、地域や地形によっても大きく変わってきます。事前に業者などに相談し、適切な見積りを取ることが重要です。
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