相続した農地をどのように活用していいか分からずにお困りの方は多いのではないでしょうか。耕作放棄地・遊休農地として長年放置されていると、農地への再生が困難になります。こちらでは、「耕作放棄地と遊休農地の違い」といった基礎から「耕作放棄地・遊休農地の再生・活用方」などまで幅広くご紹介いたします。
耕作放棄地とは?遊休農地との違い
かつて農地であったが現在耕作されていない土地を、「遊休農地」「耕作放棄地」といった異なる呼び名で表します。これらはすべて似た状態の土地を指す言葉ですが、それぞれの用語には厳密な意味の違いがあります。まずはこれらの用語の定義を明確にしましょう。
◇耕作放棄地とは
耕作放棄地とは、以前は農地として利用されていたものの、現在は作物を植えつけたり手入れをしたりする農作業が行われていない農地のことをいいます。
具体的には次の2つの要件を満たす農地が該当します。

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過去1年以上作物を植えつけていない
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近い将来の作付けの計画がない
一方、遊休農地は農地法上の農地のうち、現に耕作の目的に供されていない農地を指します。遊休農地には年数の規定がなく、1年以内の短期間でも耕作されていないものが含まれます。
つまり耕作放棄地は、遊休農地の中でも長期間放置されている一種の農地ということができます。
◇遊休農地との違い
遊休農地と耕作放棄地は同様のものを指しますが、法令上の定義は異なります。
遊休農地とは農地法で定められた用語で以下の2つを指します。
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かつて農地だったが現在農地として利用されていない土地
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農地ではあるが利用の程度が著しく低い土地
一方、耕作放棄地は統計調査される用語で、「所有農地のうち、過去1年以上作付けされておらず、この数年の間に再び作付けする考えのないもの」と定義されています。つまり、遊休農地は法令上の概念、耕作放棄地は統計上の概念という違いがあると言えるでしょう。
なお、荒廃農地とは「耕作の放棄により荒廃し、通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能となっている農地」と定義されており、耕作放棄地よりもさらに放置された状態を指します。
耕作放棄地・遊休農地の現状と問題点
◇耕作放棄地・遊休農地が増加する背景と要因
耕作放棄地や遊休農地が増加する背景には、複数の要因が絡み合っています。一つの大きな要因は高齢化です。農業従事者の平均年齢は年々上昇し、現在では65歳以上の高齢者が多くを占めています。これにより、体力的な問題や後継者不足が原因で農地が耕作されなくなるケースが増えています。また、都市部への人口集中も農村地域の過疎化を進め、農地が手つかずになる原因となっています。
さらに、農業経営の採算が取りにくくなっていることも、耕作放棄地や遊休農地の増加に拍車をかけています。国内外の市場における競争の激化、農産物価格の低迷などが経済的な負担となり、農業からの撤退を余儀なくされる農家が後を絶たないのです。

◇耕作放棄地・遊休農地の放置が引き起こす問題点
耕作放棄地および遊休農地の増加は、日本国内で深刻な社会問題となっています。ここでは、放置された土地がもたらす様々な問題点について詳しく解説します。
・食料自給率の低下
耕作放棄地や遊休農地が増えることで、国内の農地が減少し、それに伴い国内での食料生産量も低下します。この結果、食料自給率が低下し、外国からの食料輸入により依存する状況が強まります。食料供給の安全性や安定性が脅かされることになり、国際情勢の変動によって食料価格が急激に変動するリスクに直面することになります。
・災害時のリスク増加
耕作放棄地や遊休農地は、その管理が行き届かないために地盤が弱まり、大雨や台風などの自然災害が発生した際に、土砂崩れや洪水のリスクを高めます。特に山間部での耕作放棄が進んでいる場合、これが重大な災害を引き起こす可能性があり、人的、物的損害を拡大させる要因となります。
・病害虫や雑草、外来動植物の繁殖
耕作されていない土地は、病害虫や雑草の適切な管理が行われず、これらが繁殖しやすい環境となります。さらに、外来種の動植物が侵入しやすくなることで、在来種との競争が生じ、生態系のバランスが崩れる恐れがあります。これにより、農業に直接的な影響を及ぼすだけでなく、地域の自然環境にも悪影響を与えます。
・ゴミの不法投棄やセキュリティ上の不安
管理が行き届かない耕作放棄地や遊休農地は、不法投棄の場として利用されることがあります。ゴミや産業廃棄物などが投棄されることで、地域の環境汚染が進み、美観を損ねることにもなります。また、これらの場所が犯罪の隠れ蓑となることもあり、地域住民の安全やセキュリティに対する不安を増大させることになります。
耕作放棄地・遊休農地の再生・活用方法
◇農地として再利用する
耕作放棄地や遊休農地を農地として再生させる場合、土壌の質を良好に保つ作業が欠かせません。長期間放置されていた場合、土壌が痩せ細っているため、次の作物栽培に向けて土作りが必要になります。作物の選択肢としては、比較的作業負荷が少なく済む、そば・なたね・茶・大豆・さつまいもなどがおすすめです。
また、土づくりなどの再生作業、必要な設備の整備などの取り組みを支援する自治体などの補助金・支援制度を活用するのも一つの方法でしょう。
◇農業ビジネスとして活用する
耕作放棄地や遊休農地を活用して新たな農業ビジネスを立ち上げるのも有効な手段です。例えば、次のようなアイデアが考えられます。
・新規就農者の確保
耕作放棄地や遊休農地を週末農園として活用し、都会から通える範囲の農家に開放する。参加者は手ぶらで農作業体験ができ、開設者は利用料収入を得られる。
・施設園芸への活用
耕作放棄地や遊休農地に農業用ハウスを設置し、施設園芸を行う。光熱費が農地の賃借料に含まれるため、コスト削減が期待できる。
このように、地域の実情に合わせて創意工夫することで、耕作放棄地を収益源の一つにすることができます。
◇農地転用して非農業目的で利用する
・非農業目的への転用
非農業目的で農地を活用したい場合は、農地転用の許可が必要です。農地転用が認められる主な例としては以下のようなものがあります。
農地転用の手続きは都道府県知事へ転用申請を行い、許可を得る必要があります。申請時には転用理由や計画、資金計画などの書類が求められ、転用目的や立地条件などを総合的に勘案して判断されます。なお、市街化区域内農地と市街化調整区域内農地では転用要件が異なるため注意が必要です。
・転用の手続きと注意点
農地を転用して非農業目的で利用する場合、農地転用の許可申請が必要となります。申請先は都道府県の農業会議や農業委員会などです。
転用の許可を受けるには次の要件をクリアする必要があります。
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事業の適格性
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土地利用の確実性
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農地の確保
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周辺農地への影響の有無
申請に際しては転用理由書や申請地の調査書、農地の権利関係を示す書類など、多くの書類の準備が必要です。書類の不備があると許可が下りないため、申請手続きは慎重に行う必要があります。
許可が下りてから転用工事に着手できますが、農地転用の許可期限内に完了させる必要があります。許可期限を過ぎると、原状回復命令が出されるリスクもあります。
農地の活用ポイント-耕作放棄地の再生費用相場
耕作放棄地を再び農地として使うためには、まず土地の状態を整える必要があります。
◇具体的な耕作放棄地再生作業
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草刈り:生い茂った草木を取り除く
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石拾い:土中や地表にある石を拾い集める
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整地:土を平らにし、耕しやすい状態にする
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肥料散布:土壌に栄養を与えるため、肥料を散布
これらの作業は、土地の広さや状態によって大きく変わります。
◇具体的な耕作放棄地再生作業
再生費用は、土地の広さ、地形、作業内容などによって大きく異なりますが、一般的に1ヘクタール(100平方メートル)あたり100万円~300万円が目安です。
※注意: 上記はあくまで一般的な相場です。実際の費用は、業者に依頼するのか、自分で作業するのかによっても大きく変わります。
耕作放棄地の再生のための補助金
耕作放棄地の再生を進めるためには、自治体や政府が提供する補助金や支援制度を活用することが効果的です。
例えば、「耕作放棄地再生利用緊急対策交付金」では、土壌改良や用排水路の整備、機械リース料などの経費が支援されます。
また、自治体独自の補助金制度もあり、地域や面積に応じた支援を受けられる場合があります。これらの制度を活用することで、土づくりや設備整備の負担を軽減し、再生作業を円滑に進めることが可能です。具体的な支援内容や申請方法については、自治体や農業関連機関に相談することをおすすめします。
農地再生の事前準備-確認・調査しておくべきこと
耕作放棄地や遊休農地を農業に利用したい場合、事前に以下のことを確認しておきましょう。
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土地の状態:雑草の種類や量、土壌の状態、傾斜度など
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周辺環境:接続道路や排水路の状態、自然災害や鳥獣害のリスク
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土壌:栽培したい作物に適した土壌かどうか
◇なぜこれらの確認が必要?
・効率的な作業計画
土地や周辺環境の状況を把握することで、必要な作業や機械を効率的に選定し、作業計画を立てることができます。
・安全な作業
傾斜度や土壌の状態を把握することで、作業中の事故を防ぐことができます。
・成功する農業
土壌の状態や周辺環境に合った作物を栽培することで、農業を成功させる可能性を高めることができます。
農地再生を始める前に、土地の状態や周辺環境をしっかりと把握することが大切です。これらの情報を元に、適切な対策を講じることで、安全かつ効率的に農業を進めることができます。
遊休農地の未来:IoTやAIを活用した効率的な耕作システム
遊休農地の再生と効率的な活用に向けて、IoTやAIなどの先端技術を駆使したスマート農業が注目されています。これらの技術を導入することで、以下のような効果が期待できます。
◇労働力不足の解消
・ロボットトラクターやドローンによる自動化で作業効率が向上します。
・熟練農家の技術をAIで継承し、新規就農者でも高度な農業が可能になります。
◇精密農業の実現
・センサーやドローンで圃場(ほじょう)の状態を細かく把握し、最適な栽培管理ができます。
・気象データとAI解析を組み合わせ、適切な農薬散布や収穫時期の判断が可能です。
◇生産性の向上
・データに基づく科学的な農業で、収量や品質の向上が見込めます。
これらの技術を活用することで、遊休農地の再生と持続可能な農業経営の実現が期待できます。
ただし、導入にあたっては以下の課題があります。
・初期投資コストの負担
・農地の大規模化や基盤整備の必要性
・データ活用のためのデジタルリテラシー向上
今後は、これらの課題解決に向けた支援策や人材育成が重要になってくるでしょう。IoTやAIを活用した新しい農業の形が、遊休農地の未来を明るく変えていく可能性を秘めています。
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